<プレスリリース>
「アイムヒア プロジェクト」写真集出版 / 記念展 "まなざしについて"
2018.12.07 記載 / 2019.01.15 加筆
ひきこもり生活を送る人々が自らで撮影した部屋の写真を集めた写真集『I’m here project』を
現代美術家渡辺篤が中心となって進めている「アイムヒア プロジェクト」が出版します。
2019年2月16日から開催の出版記念展覧会”まなざしについて”では、
写真集の販売および、掲載写真を中心とする大型のインスタレーションや映像などを多数展示します。
<御掲載時期のお願い>
・webにご掲載頂く場合、2019年1月中旬〜下旬頃の情報公開を希望致します。
・紙面(誌面)にご掲載頂く場合、2019年1月中旬〜2月中旬の情報公開を希望致します。
▶︎お問い合わせ:atsushi_1009_2@yahoo.co.jp (渡辺篤)
写真1 ©︎I'm here project / Atsushi Watanabe 2018-2019
写真集『I'm here project』について
写真集『I'm here project』は、現代美術家渡辺篤が中心となり、国内外で深刻な社会問題となっている孤立の在り方「ひきこもり(※1)」やそれにまつわる問題に対して、新たな当事者発信の形を模索し、当事者の尊重と社会への周知や問いを提示する企画「アイムヒア プロジェクト」によるアートワークである。
2018年夏から3ヶ月間、主にインターネットを通じ当事者自らで撮影した部屋の写真を募集(※2)。結果、約40名から合計160枚程(※3)が寄せられた。これらは本来見ることはできない閉ざされた空間の貴重な写真だ。今回これをデザイナーやカメラマンらの協力を得て編集作業を行った。
渡辺自身、足掛け3年間の深刻なひきこもりを経験した元当事者である。自分の経験を極力開示し今回の募集を進めた。渡辺の場合のひきこもりは、一生の覚悟で続けていたものの突如その時間を終えることとなり、部屋を出たその日に自身の姿や部屋を撮影した。”ひきこもってしまった永い時間が無駄なものだったとするならば、それを引き受けて再出発することもまたとても辛いことだ。けれど、今ここに居る自分や部屋のあり様を撮影する事で、経てしまった永い時間を「写真作品に必要な制作期間」だったという事に変換出来るのではないだろうか” 。そう認識を切り替え、のちに美術家として社会復帰を果たすこととなる。その時の写真はプロジェクトのサイト(※4)のアイコンとして使用されている。
人生における心の傷や困窮の時間もまたクリエイティブな価値にする事はきっと可能だ。
プロジェクト名の”アイムヒア”は、”わたしはここにいる”という意味である。見えない問題を無い事にさせないために。
※1…日本の厚生労働省は「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態」と規定しているが、「単一の疾患や障害の概念ではなく、様々な要因が背景になって生じ」ているのが実態であり、国内だけでも150万人以上居ると言われている。
※2…投稿者全ての個人情報を保護し、写真の匿名性を守る事、本人以外からの投稿を受け付けない事、謝礼を払うことなど極力丁寧な規約の提示や合意形成を心がけた。
※3…一部2014年実施の同様企画のものを含む。
※4…https://www.iamhere-project.org/
<写真集概要>
タイトル|「 I'm here project 」
仕様|B6サイズ、52p(予定)
価格|1,000円(税抜)
解説|天野太郎(横浜市民ギャラリーあざみ野 主席学芸員/札幌国際芸術祭2020 統括ディレクター)
編集|アイムヒア プロジェクト
デザイン|川村格夫
フォトリタッチ・フォトディレクション|井上圭佑
発行者|アイムヒア プロジェクト(代表 渡辺篤)
英文校正| Sam Stocker
英文校正アシスタント|新江千代
助成|アーツコミッション・ヨコハマ
写真2 ©︎I'm here project 2018-2019
<展覧会概要>
展覧会名|「アイムヒア プロジェクト」写真集出版記念展 "まなざしについて"
会場|高架下スタジオSite-Aギャラリー
住所|231-0054 横浜市中区黄金町1-6番地先
会期|2019年2月16日(土)- 24日(日) ※会期中無休
入場料|無料 ※一部有料イベント有り
ウェブサイト|https://www.iamhere-project.org
時間|11:00-19:00
※初日(2月16日)について…17:00-21:00の公開となります。パフォーマンス時間は一部作品をご覧戴けない場合がございます。
※ゲストトーク開催日(2月17日・23日)について…17:00頃からトークイベント準備の為、一部作品をご覧戴けない場合がございます。
主催|アイムヒア プロジェクト (代表 渡辺篤)
助成|アーツコミッション・ヨコハマ
協力|黄金町エリアマネジメントセンター、R16スタジオ
お問合わせ|045-261-5467(黄金町エリアマネジメントセンター)
<会期中イベント>
◎オープニングパーティ/パフォーマンス
日時|2月16日(土)17:00- 21:00
入場無料
※パフォーマンス参加ご希望の方は「カナヅチ」をご持参下さい。石膏ボードを打破し、入場ゲートを作ります。なお、パフォーマンス中は一部作品をご覧戴けない場合がございます。
◎ゲストトーク①「まなざしの暴力性について〜ひきこもり問題の現場から〜」
日時|2月17日(日)、18:00-(90分程度を予定)
ゲスト:池上正樹氏(ジャーナリスト)、当事者・経験者の方々 × 渡辺篤(アイムヒア プロジェクト代表 )
入場料|1,000円
先着20名
◼︎池上正樹氏プロフィール……通信社などの勤務を経てジャーナリスト。日本文藝家協会会員。9月14日に新刊『ルポ ひきこもり未満』(集英社新書)。他に『ひきこもる女性たち』『大人のひきこもり』『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』『ふたたび、ここから~東日本大震災・石巻の人たちの50日間』『痴漢「冤罪裁判」』『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(共著)『石巻市立大川小学校「事故検証委員会」を検証する』(共著)など著書多数。ダイヤモンド・オンラインで『「引きこもり」するオトナたち』を連載中。対話の場「IORI」設立メンバー。KHJ全国ひきこもり家族会連合会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」部会委員なども務める。
◎ゲストトーク②「社会包摂と表現について〜新人Hソケリッサ!の場合〜」
日時|2月23日(土)、18:00-(90分程度を予定)
ゲスト:アオキ裕キ氏(ダンサー・振付家) × 渡辺篤(アイムヒア プロジェクト代表 )
入場料|1,000円
先着20名
◼︎アオキ裕キ氏プロフィール……ダンサー・振付家。兵庫県出身。 87年より東京にて平田あけみ氏よりジャズダンスを教わる。 テーマパークダンサー、タレントのバックダンサー業などを経て、02年オフィスルゥに所属。メディアの振り付け業と共に、コンテンポラリーダンスを始める。香瑠鼓、上島雪夫、石川ふくろう、加藤みやこ作品などダンサーとして参加。 舞踏を笠井叡より学び、更なる踊りの可能性、今あるべき真価を追求。05年、任意団体アオキカクを主宰。生きることに向き合う身体から生まれる踊りを探求し、05年ビッグイシューの協力とともに路上生活経験者を集め、ダンスグループ「新人Hソケリッサ!」を開始。身体の歴史から生まれる形に価値を置き、「誰でも踊りはできる」を提言。言葉による振り付け等を行い、個人しか生み出せない体の記憶を形成した踊りにより、自己肯定を生み出すなど、社会的弱者への社会復帰プログラム、又ダンス教育としてのアプローチとしても定評を得ている。
◎主催者による「ギャラリートーク」
日時|2月18日(月), 19日(火), 20日(水), 21日(木), 22日(金)
いずれも18:00-(30分程度を予定)
解説者:渡辺篤(アイムヒア プロジェクト代表 )
参加費|一般: 500円、ひきこもり当事者: 無料
…各作品の成り立ちや背景について、プロジェクト代表・渡辺篤が解説します。質疑応答も。
ひきこもり当事者歓迎。
※情報公開後、内容が変更されている場合がございます。詳細はウェブサイトをご確認ください。
写真3 ©︎I'm here project 2018-2019
<以下 補足情報>
アイムヒア プロジェクト代表
渡辺 篤 | Atsushi Watanabe
Photo by Keisuke Inoue
【プロフィール】
現代美術家。1978年 神奈川県生まれ。
東京藝術大学在学中から、自身の経験を根幹とする、新興宗教・経済格差・ホームレス・アニマルライツ・精神疾患・セクシャルマイノリティなどの、社会からタブーや穢れとして扱われうる様々な問題や、それにまつわる状況を批評的に取り扱ってきた。
近年は、不可視の社会問題でもあり、また自身も元当事者である「ひきこもり」の経験を基点に、心の傷を持った者たちと協働するインターネットを介したプロジェクトを多数実施。そこでは、当事者性と他者性、共感の可能性と不可能性、社会包摂の在り方についてなど、社会/文化/心理/福祉のテーマにも及ぶ取り組みを行う。社会問題に対してアートが物理的・精神的に介入し、解決に向けた直接的な作用を及ぼす可能性を追求している。
作品発表以外では、当事者経験や表現者としての視点を活かし、「ハートネットTV」(NHK Eテレ、2018年)などのテレビ出演や、雑誌・新聞・webにインタビューや執筆多数。アートのみならず、医療や福祉のジャンルでの学会やシンポジウム登壇も行う。
【略歴】
2013 ひきこもり生活を終え、美術家に復帰。以後精力的に活動を続ける
2010 さまざまな「居場所の喪失」を理由に、ひきこもり始める
2009 東京藝術大学大学院 美術研究科 絵画専攻(油画)修了
2007 東京藝術大学 美術学部 絵画科油画専攻 卒業
▶︎渡辺 篤 ウェブサイト|https://www.atsushi-watanabe.jp/
【活動歴】
〈主な個展〉
2017 「わたしの傷/あなたの傷」六本木ヒルズ A/Dギャラリー、東京
2014 「止まった部屋 動き出した家」NANJO HOUSE、東京
2014 「ヨセナベ展」Art Lab AKIBA、東京
〈主なグループ展〉
2017 「藝「大」コレクション パンドラの箱が開いた!」東京藝術大学美術館、東京
2016 「黄金町バザール 2016 −アジア的生活」黄金町、神奈川
2009 「ASIA PANIC」光州ビエンナーレホール、韓国
2008 「チバトリ」千葉市美術館、千葉
〈その他〉
2018 「アーツコミッション・ヨコハマによるクリエイティブ・インクルージョン活動助成」に採択。
2016/2017 「アーツコミッション・ヨコハマによる若手芸術家育成助成」に採択。
2016 「ARTISTS’ GUILD」加入。
◇ ◇
【「アイムヒア プロジェクト」の目指すもの】
現代美術家・渡辺篤が中心となりプロジェクトを始動。2018年8月から約3ヶ月間ひきこもりの当事者に向けインターネットで部屋の写真を募集。約160枚が集まった(2014年開催の同様企画の際のものを含む)。このプロジェクトでは、当事者の在り方を「写真という媒介」を用い、ありのままに肯定をする(運営は、当事者を写真家として見立て、それぞれに撮影費を支払っている)。そこでは文章力も人脈も必要無く、カメラの持つ、”そのままを写す”という機能を使い、当事者にしか撮れない表現を作る。シャッターを押して、メールで送るだけ。おそらくそこには少しの勇気と自己表現の意欲がある。きっと、ある人は怒りがあり、ある人は客観視のきっかけを求め、またある人は不動の日常に何らかの変化を期待して。
プロジェクトでは様々なクリエイターや福祉関係者・支援者、財団のご協力やご支援の下、こうした課題にアプローチしている。
▶︎「アイムヒア プロジェクト」ウェブサイト|https://www.iamhere-project.org
◇ ◇
【直近のメディア掲載 】
▶︎ NHK NEWS WEB
「WEB特集 ひきこもりの部屋から」
https://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2018_1101_2.html
▶︎ 美術手帖
「自閉してしまった時間を照らすアートの光。元ひきこもりの美術家・渡辺篤が写真集出版記念展を開催」
https://bijutsutecho.com/magazine/news/exhibition/19108