私はフリーハグが嫌い

(2021年〜現在進行中)

 


 

 

 

ハグしてくれるひきこもりの方に会いに全国出張します

 

 

 

 

 

自身も過去にひきこもり経験を持つ私(現代美術家・渡辺篤)はこれまで、ひきこもりやコロナ禍に孤立感を抱く人々とアートプロジェクトを行ってきました。今回はアフターコロナに向け、新たなプロジェクトをスタートさせます。

 

コロナが収束した世界では、人々は集い、スキンシップが再開するでしょう。けれどもコロナ以前も以後も孤立せざるを得ない存在が、この世界には一定数居ます。例えばそれは「ひきこもり(※1)」と呼ばれる人々。私はそこに行き、対話やハグをしたい。

 

「フリーハグ」と呼ばれるアクションを知っていますか?私はこれまでそれが嫌いでした。本当に必要な人には全く届いてない気がしたからです。ひきこもりの彼/彼女たちの多くもきっとフリーハグをしたことない人ばかりでしょう。私はフリーハグが苦手ですが、だからこそ既存のフリーハグを更新し、それを求める人々と共に行いたいのです。

 

※1「ひきこもり」とは…ひきこもりは日本に少なくとも110万人以上も居ると言われています。厚生労働省では「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせず、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態」と規定されています。また「単一の疾患や障害の概念ではなく、様々な要因が背景になって生じている」のが実態と言われています。このプロジェクトにおける「ひきこもり」は上記に当てはまらなくても構いません。ひきこもりの定義は、参加希望の方の判断にお任せします。

 



 

 

<アーカイヴ>

 

 

Yさんは、性被害経験を理由とするトラウマを抱えてきた。元々、表現やフェミニズム活動をしていた方で、近年はフラッシュバックや二次被害により思うような活動ができなかった。今は、自分の経験を作品にしたい、人ともっと対話したいと語ってくれた。同行スタッフ鳥居さんと共に、千葉県のカフェでお会いした。2022/04/03

神奈川県に住む大学生、Vonさん。過去に死にたいほど生きづらさを抱え過ごしていた地元の街並み。ある時、不意に観たアニメの舞台設定が、自分の住む街と同じなのを知り、驚いたという。観光地でもあるその地域は今ではVonさんの誇りとなった。今回その場所へ同行スタッフ神原由佳さんと共に伺った。2022/04/10

大阪在住のミトンさんは、以前から人間関係に不安があった。しかしフリースクール時代に今も続く仲間ができた。一方、両親は離婚を控え、家族の形が変わろうとしている。それを機にイメージし始めた就職や一人暮らし。プレッシャーはあるが今は希望もある。同行スタッフ池田さんと共に駅で会った。2022/05/12 

 

大阪に住むミカさんは、どの仕事も人間関係に躓き長く続かなかった。自分の気質は、抑圧的な親が原因と考え、そしてゴミ屋敷の実家を嫌った。最近離職中に一念発起し実家を清掃。今回その家へ同行スタッフ池田さんと伺い、対話し、屋上でハグをした。我々の帰宅後、ミカさんはお母さんともハグをした。2022/05/13

 

群馬県のしゃしゃさんは断続的なひきこもり状態にある。以前ひきこもった時は新聞をスクラップし続け、社会との接続を試みたが今はそれもやる気がしない。彼の街のひきこもり支援は就労を目的化するものしかなく、この次のステップに悩んでいる。この日の同行スタッフは、障害者支援が本業の高島さん。

2022/06/01

福島県在住のぴかりんさんは子どもの頃に統合失調症を発症。暗く孤独だった。学生時代からひきこもって30年以上が経つ。地元の当事者会は女性が参加しやすいものが無く、コロナ以降オンライン当事者会に参加している。同行スタッフ鳥居さんと共に灯台の見える海岸へ伺った。津波被害があった場所だ。

2023/04/22

山形県在住TSさんは発達障害と難聴があり、空気読むのは苦手で聞き間違えもあるため、いじめや差別に遭ってきた。長く続けてきた格闘技は誇りであり、今は不条理を投げ飛ばすような美術家になって活躍したいと望む。敢えて、差別を受けた元職場近くで会いたいと言う。同行スタッフ鳥居さんと伺った。

2023/04/23

神奈川在住shimaさんは、大人になる前に消えて無くなると信じ、病気に罹ったときはこれで終われると安堵さえし、ひきこもった。けれど今も生きてる。子どもの頃、歩道橋は自分が消えて無くなる象徴だった。今は自分のため生きたいと願い、歩道橋での対面を選んだ。同行スタッフ高島さんと伺った。

2023/04/30

佐賀県在住ゆりさんは、幼少期から漠然とした不安や生きづらさがあった。浪人を経て大学に受かるも、鬱で中退。医者は処方箋を出すだけ、カウンセラーは頷くだけ。誰も自分と正面から向き合ってくれてない感覚がある。久しぶりに東京に行くので美術館で会いたいと言う。同行スタッフ神原さんと伺った。

2023/05/07


< N E W S >

 

寺尾紗穂さんのニューアルバム「余白のメロディ」内の収録曲「歌の生まれる場所」MVで、「私はフリーハグが嫌い」が紹介されています。

「歌の生まれる場所」 https://www.youtube.com/watch?v=sKadXgt1a_g

監督:玉田伸太郎・山野英之 撮影:植本一子・玉田伸太郎

協力: しゃしゃ、渡辺 篤(アイムヒア プロジェクト) 、mitosaya

高橋三太:ホーンアレンジ、寺尾紗穂:歌・ピアノ、伊賀 航:ベース、あだち麗三郎:パーカッション、高橋三太:フリューゲルホルン、渡邊恭一:テナーサックス、高井天音:トロンボーン
「余白のメロディ」寺尾紗穂|KHGCD-002/CD/¥3,000+税/2022.06.22発売



信濃毎日新聞(2022年9月30日)に掲載されました。

同内容は山形新聞(2022年9月17日)にも掲載。



 

<オンライントークイベント >
2022/03/06

 


 

オンライントークイベント「私はフリーハグが嫌い」

・主 催: 渡辺 篤|アイムヒア プロジェクト

・開催日時: 2022年3月6日

・登壇者: 渡辺 篤(現代美術家 / アイムヒア プロジェクト主宰) 、神原由佳(スタッフ / 社会福祉士 / 精神保健福祉士) 、鳥居 萌(スタッフ)

・ゲスト: 恩田夏絵(ピースボート・グローバルスクールコーディネーター / 一般社団法人ひきこもりUX会議共同代表理事)

・助 成:一般財団法人 川村文化芸術振興財団、公益財団法人 小笠原敏晶記念財団、アーツコミッション・ヨコハマ

…世界がこれから迎えるポストコロナ期の孤立課題に向けて取り組みを行うアートプロジェクト「私はフリーハグが嫌い」では、応募頂いたひきこもり当事者の場所へ、自身もひきこもりの経験を持つ現代美術家・渡辺篤とプロジェクトスタッフが全国出張し、対話とハグを行います。 今回のトークイベントでは、恩田夏絵さんをゲストにお迎えし、プロジェクト説明や「アイムヒア プロジェクト」のこれまでの活動についてもご紹介します。

 

 

この動画は2022年3月6日に開催したオンライントークイベントの録画動画です。

 


 

 

プロジェクト「私はフリーハグが嫌い」

主 催:アイムヒア プロジェクト、渡辺 篤

同行スタッフ:神原由佳、鳥居 萌、池田麻紀子、高島純子、松浦奈美、小川真理子

協 力:全国のひきこもりの方々、株式会社泰有社

Special thanks:恩田夏絵、植田 工、Satoko Kako(順不同)

助 成:

・一般財団法人 川村文化芸術振興財団(2021年度、ソーシャリー・エンゲイジド・アート支援助成)

・公益財団法人 小笠原敏晶記念財団(2021年度、第2次新型コロナウイルス特別助成|現代美術分野)

・アーツコミッション・ヨコハマ(2021年度、ヨコハマ創造産業振興助成)