「アイムヒア プロジェクト」とは

「アイムヒア プロジェクト」写真集出版記念展 "まなざしについて"(高架下スタジオSite-Aギャラリー)第1展示室、会場風景

Photo: Keisuke Inoue

 

 

「アイムヒア プロジェクト」はひきこもり当事者をはじめとする孤立者の存在やその声を、

自身も過去にひきこもり経験のある現代美術家渡辺篤が当事者に伴走する形で、

社会に向けて発信し、共に考え、アートが社会を直接的な作用をもたらす可能性を模索する。

 

2018年度にはひきこもり当事者自らが撮影した

部屋写真を集めた写真集「I'm here project」を出版。

 

2019年度にはひきこもり当事者と直接対話しながら

作品制作をする企画「修復のモニュメント」を進め展覧会を開催する。

 


<写真集「I'm here project」について>

 

写真集『I'm here project』は、日本をはじめとする多くの場所で深刻な社会問題となっている孤立の在り方「ひきこもり(※1)」や、それにまつわる問題に対し、新たな「当事者発信」の形を模索し、当事者の尊重と社会への周知や問いを提示するアートワークである。 2018年、ひきこもり当事者自らが撮影した部屋の写真を募集した(※2)。結果、約40名から合計約160枚(※3)が寄せられた。これらは本来見ることはできない閉ざされた空間の貴重な写真だ。

 また本企画は、歴史的にマスメディアやアートがその権力性を用いて、困窮した当事者や社会的弱者を搾取的に取り扱ってきた動向(※4)を、当事者表現による逆照射によって批判する構図も取っている。

 企画主催者である渡辺篤(現代美術家)自身、過去に足掛け3年間の深刻なひきこもりを経験した元当事者である。”ひきこもってしまった永い時間が無駄なものだったとするならば、それを引き受けて再出発していくこともまたとても辛いことだ。けれど、今ここに居る自分の姿や部屋のあり様を撮影する事で、経てしまった永い時間を「写真作品に必要な制作期間」だったという事に意味を変換出来るのではないだろうか” 。 そう認識を切り替え、のちに美術家として社会復帰を果たした。人生における心の傷や困窮の時間もまたクリエイティブな価値にする事はきっと可能だ。 アイムヒア プロジェクトは、孤立した不可視の存在やその声を無い事にはさせない為、彼ら彼女たちの表現に伴走する。

 

※1…日本の厚生労働省は「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態」と規定しているが、「単一の疾患や障害の概念ではなく、様々な要因が背景になって生じている」のが実態であり、国内だけでも100万人のひきこもりが以上居ると言われている(参考:中高年ひきこもり61万人 初の全国調査、若年層上回る|朝日新聞)。

※2…写真投稿者全ての個人情報を保護し、写真の匿名性を守る事、本人以外からの投稿を受け付けない事、謝礼を払うことなど、極力丁寧な規約の提示や合意形成を心がけた。

※3…一部は2014年に実施した同様企画のものを含む。

※4…テレビの特集番組などは、ひきこもり当事者の部屋の扉を蹴破って押し入り、説教をしたり施設に軟禁するなどする業者を賛美し、当事者を悪しきもののように報道してしまったきた歴史があり、近年支援者や当事者らによって批判されている(参考:テレ朝「TVタックル」を精神科医らが批判、暴力的手法で「ひきこもり当事者」を連れ出す映像を放送)。また、現代アートのジャンルに限っても国際的に活躍する写真家が元モデルによって現場での搾取的事情が告発されるなどした(参考:その知識、本当に正しいですか?|KaoRi.)。
 

■写真集ご注文ページ

 

■写真集詳細・出版記念展覧会アーカイブ ※渡辺篤ウェブサイト

 

■部屋写真募集ページ ※募集は2018年12月に締切ました。ご協力いただいた方々ありがとうございました。